順讃おわすれあり

御つとめのとき、順讃御わすれあり。南殿へ御かえりありて、仰せに、「聖人御すすめの和讃、あまりにあまりに殊勝にて、あげばをわすれたり」と、仰せそうらいき。「ありがたき御すすめを信じて往生するひとすくなし」と、御述懐なり。

(『蓮如上人御一代記聞書』4)

 

 順讃とはご和讃を順々に読むこと。

浄土真宗のお寺にお参りすると、ご法要で内陣(ご本尊のお出でになるところ)に坊主が荘厳となり、念仏とご和讃(親鸞聖人がおつくりになった和文の歌)が交互に唱えられる。

念仏と和讃の交互の読み合いはきれいなものであり、その響きに浄土の空気を感ずる。

ともすると自分が唱えることさえ忘れていたりする、それくらいの感動をお勤めに感ずることがある。その感動の中申す念仏、それはまた浄土から私への「呼びかけ」と言って可能なのだ。